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自家歯牙移植
2020年3月7日
こんにちは、院長の中野です。
皆様は体調を崩されたりしていませんか?
花粉症。感染症。はやく収束して日本が元気になってほしいですね。
久しぶりのブログ更新となりましたが、本日は自家歯牙移植をご紹介いたします。
実は、歯という組織は一度抜けても、また元に戻る可能性があることをご存知でしょうか?
事故などで歯が根元から抜けたとしても早期であれば元通りに治ります。
それを応用して、自分の歯を自分の口の中の別の場所に移植するのが自家歯牙移植です。
今回、心優しい患者様が写真を使うことを許可してくださったので、最近行った治療を写真を使ってご説明させていただきます。
右下の歯はおそらく何度も治療を繰り返しており、中央に大きな穴が空いているだけでなく、厚みの薄い部分にヒビも入っている状態でした。基本的に歯を抜くのは最終手段ですが、こういった歯に関しては抜歯を行うのが一般的な治療になります。
左上の親知らずはなく、左下の親知らずは比較的良い状態でした。
左下の親知らずはなくなっても支障のない歯なので、相談の上、右下の折れた歯を抜歯して、左下の親知らずを移植することになりました。
移植は無事に終わりました。
こちらは2週間後の写真です。移植歯は歯茎となじんでいますが、まだ周囲の骨とがっちり固定されていないので、ワイヤーで隣の歯と固定した状態です。
また歯牙は移植できても、歯の中の神経までは再生しません。感染源とならないように歯の中の掃除も必要なので、歯の中の組織を除去する作業(根管治療)も行います。
2回ほど根管治療を行い、周囲の歯牙と連続した自然な状態に戻すためにかぶせ物(クラウン)を入れます。
移植後にクラウンが入ると、噛む機能は回復します。
今回のケースでは順調に治療が進みましたが、場合によってはけっこう時間がかかることもありますし、移植の際に移植する予定の部位と(移植床)と移植予定の歯の根(歯根)の形態が大きく異なるときは移植を治療途中でも断念することがあります。
もし抜歯のみを行った場合、のちに3種類(義歯、ブリッジ、インプラント)の治療からどれかを選択していただき機能回復を行うのですが、どの治療にも欠点があります。
それに対し移植は機能回復が行えるだけでなく、周囲の歯牙に機械的な負担もなく、インプラントに変わる素晴らしい治療であると思います。
移植歯が正常な歯牙と比較して寿命が短かったとしても、継続して通院(メインテナンス)していただけていたら、移植して何年後かに別の欠損補綴治療に速やかに移行することも可能であり、治療の選択肢も広がります。
この本は自分の自家歯牙移植のバイブルです。けっこう分厚くて読み応えのある本です。
写真の掲載の許可をいただいた患者様には感謝です。いつもありがとうございます。
移植以外のことでも何かご質問がありましたらおたずねください。
最後までご覧頂きありがとうございます。