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親知らず
2019年2月4日
こんにちは、院長の中野です。
近所の梅の木に花が咲き始めているのを見つけました。春が待ち遠しいですね。
最近親知らずの周りの歯茎が腫れて来院される患者様が増えています。
今回は親知らず(智歯)の抜歯について書かせて頂きます。
智歯とは、「親知らず」「第3大臼歯」とも呼ばれる一番奥の永久歯です。すべての人に生えるわけでなく、上下左右の4本が揃わなかったり、全く生えてこない人もいると言われています。
身近な人で智歯抜歯をされている方は意外と多いと思いますが、智歯は必ずしも抜歯する必要はありません。智歯が生えていて(萌出)上下で噛み合っている場合や、完全に骨の中に埋伏していたり、周囲の歯に悪影響がなければ抜歯の必要はないと考えています。
では、どのような時に抜歯は必要になるかというと
・智歯が虫歯や歯周病だけど、治療しても良い状態に戻らないとき(歯茎の上までしっかりと生えていないとき、歯ブラシで自分で綺麗に磨けない状態であり、繰り返し治療が必要になると予想されるときなど)
・接している歯を虫歯・歯周病にする原因になっている、またはそうなる可能性があるとき
・歯並びが悪化する原因になる可能性があるとき(矯正治療などをうける予定がある)
上記のときは智歯の抜歯をすすめることがあります。
下顎の骨は上顎に比べて骨質が硬く、骨に埋まっている下の智歯抜歯では、深さや方向によって骨を削ったり歯を割る操作が必要になることがあります。
歯根の彎曲や肥大の程度で容易に抜歯できないことも少なくありません。また下の智歯周囲には下歯槽神経、舌神経と呼ばれる神経が走行しており、抜歯後に神経損傷による合併症が起きることもあります。なかの歯科で智歯抜歯を行う際は、模型やレントゲンを用いてどのように抜歯するか説明してから治療を行います。智歯と神経、血管の位置関係を精査するためにCT撮影を行うこともあります。
実際の患者様の写真をみていただきます。
右下の歯茎から一部だけ智歯が生えている状態で、時々痛みを感じており、抜歯を希望したので抜歯を行いました。この写真で智歯と神経に色をつけると
このようになります。
智歯と神経・血管の位置が近いことがわかります。
このような場合は抜歯後に出血が持続したり、神経障害が出現するリスクが比較的高いことが事前に予測されます。
智歯と下顎の中を走行している下歯槽神経血管束の位置関係を把握するためにCTを撮影しました。
先ほどのレントゲンでは不明瞭だった智歯の外形もよくわかるようになります。
実際の智歯は、根が二股に分かれており、骨に抱きつくように湾曲していたことがわかります。
更に、
神経が智歯の根の外側下方を走行していることもわかります。
歯の形態や神経血管の位置関係を把握してから抜歯することで、治療がよりスムーズで安全に行うことが可能になります。
実際の抜歯は局所麻酔(智歯周囲の歯茎だけの麻酔)で行います。
抜歯にかかる時間は約20分ほどで、1週間後に抜糸します。
智歯抜歯にはネガティブなイメージが強い方が多いと思います。喜んで抜歯された患者様は今までに3人しか記憶にありません。ですが、抜かなければならないこともあります。どんな患者様
にも安心して治療を受けていただけるように努力しています。なにかご質問がありましたらなんでも聞いてください。
最後までブログをごらんいただきありがとうございます。